清家美佳 アニメーション作品展 — Deep In Reflection —

2012年度 情報メディア学科ギャラリー展示
清家美佳 アニメーション作品展 — Deep In Reflection —

カテゴリー
作品展示
会期
2012年5月23日(水) ー 6月29日(金) 9:30〜19:30
土日休館・入場無料
会場
同志社女子大学 『mscギャラリー』
京田辺キャンパス 知徳館6号 棟1階 C163

清家 美佳氏(アニメーション作家/大阪成蹊大学、名古屋学芸大学非常勤講師)

1975年大阪府生まれ、大阪育ち。現在も大阪を拠点にアニメーション作品を制作。
主な作品に、「蛾のいるところ」(2001年)、「釣り草」(2006年、オムニバスアニメーション『TOKYO LOOP』に収録)など。最新作「蛾鑑」(2012年)がイメージフォーラムフェスティバル2012で東京・横浜・京都等で巡回上映中。

REPORT

大阪を中心に活動するアニメーション作家、清家美佳氏の作品展を開催いたしました。
大阪で育った清家氏は京都の美術大学でメディアデザインを専攻し、学生時代からアニメーション作品を制作・発表してきました。今回の作品は大学を卒業後間もない頃から、今年制作した最新作まで、清家氏の世界観が堪能できる作品の構成となっていました。

『蛾のいるところ』『蛾鑑』など、作品に繰り返し使われるモチーフとして「蛾」があります。「蛾」という字は「虫」偏に「我」と書きます。作品に登場する蛾は増え続け、そして人物の間をすり抜けるように(そして時には体を貫通し)縦横無尽に飛び回ります。これは、人間の内なる欲望(=我欲)のメタファーとも捉えられます。登場人物は自ら生み出した蛾(=我欲)との対話を繰り返すことで自分の世界を作り出しているのです。一方『二層の葛』『お向かいさん』は他者との対話をモチーフとしています。繰り返される単調なやり取りは、ディス・コミュニケーションを感じさせ、二人の登場人物は限りなく自らの世界に沈み込んでいきます。清家氏は、複雑な現実世界の構造を見慣れたモチーフを巧みに動かすことで、寓話的世界に変換し私たちに提示してくれます。

普段目にする事の少ない「アニメ」ではない「アート系アニメーション」による表現は学生にとってもあまり馴染みのないものだったかと思います。黎明期の日本のアート系アニメーションの世界は男性が中心でしたが、清家氏の世代辺りから女性のアニメーション作家が活躍し始めました。清家氏の、女性ならでは、そして女性だからこそ感じられる繊細な感覚と世界に対する冷静な眼差しは、作品の世界観と相まって観る者をメタレベルの視点に誘います。個人が映像作品を制作する事は、内なる世界と対話を繰り返すことで、自らの世界をスクリーンの上に創出することに他なりません。今後、映像・アニメーション、デザインなどの制作を志す学生にとって、多くの刺激を受けた展覧会でした。

■展示作品

『蛾のいるところ』(SD/5’30/2001)
『鏡台』(SD/3’40/2003)
『二層の葛』(SD/8’00/2004)
『釣り草』(SD/4’40/2006)
『お向かいさん』(SD/8’50/2007)
『蛾鑑』(HD/5’40/2012)

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