「ことばプロジェクト」井上伸一郎氏講演会

「ことばプロジェクト」井上伸一郎氏講演会
『時をかける少女』文庫40年 少女の言葉はどう時をかけたのか

コミュニケーションのあり方が大きく変化しつつある現在、かつてないほどに「ことば」が重要性をもってきています。そのようななか、本プロジェクトは「ことばプロジェクト」と称し、様々なことばの活動や表現を考察することで現代のことばについて理解を深め、来たるべく社会活動の基盤作りになることを目的とします。具体的には、ワークショップのなかで文章を作成し、ことばの表現について理解を深め、また講演会を通じて、ことばをめぐる現在形の活動について知識を広げていきます。

カテゴリー
講演会
講師
井上伸一郎氏(株式会社KADOKAWA代表取締役専務)
開催日時
11月2日(水) 15:00〜17:00
場所
同志社女子大学 京田辺キャンパス 知徳館 2階 C283
参加対象
在学生および一般 入場料無料 申込不要
主催
同志社女子大学 情報メディア学科
協力
株式会社KADOKAWA
お問い合わせ
同志社女子大学 学芸学部 情報メディア学科事務室
TEL:0774-65-8635

茶話会

参加対象:情報メディア学科在学生
会場:17:30〜18:30 友和館4階 カフェテリア
軽食を頂きながら同志社女子大学在学生の交流会を行います。
講演者の井上氏もご出席されますので、ぜひご参加ください。

講師プロフィール 井上伸一郎氏(株式会社KADOKAWA代表取締役専務)

1959年東京生まれ。87年4月(株)ザテレビジョン入社。アニメ雑誌『月刊ニュ-タイプ』の創刊に副編集長として参加。以後、女性情報誌『Chou Chou』漫画雑誌『月刊少年エ-ス』等の創刊編集長などを歴任。07年1月(株)角川書店代表取締役社長に就任。13年4月(株)角川グループホールディングス(現(株)KADOKAWA)代表取締役専務に就任し現在に至る。
主なプロデュース作品に、『時をかける少女』(2006)、『天地明察』(2012)、『キカイダ-REBOOT』(2014)、『グラスホッパ-』(2015)、『ピンクとグレ-』(2016)、『セ-ラ-服と機関銃―卒業―』(2016)、『貞子×伽榔子』(2016)がある。

関連イベント

「ことばプロジェクト」WORKSHOP
開催日時:2016年11月2日(水) 11:00〜12:30(予定)
会場=京田辺キャンパス 知徳館 4階 C471

REPORT

11月2日15時から京田辺キャンパスC283教室において、株式会社KADOKAWA代表取締役専務井上伸一郎氏を招聘し、講演会が開催された。

井上氏の講演は「『時をかける少女』文庫40年 少女の言葉はどう時をかけたのか」というタイトルの下、40年間の言葉の変化についてのものであった。この変化をより明確なかたちであぶり出すために、井上氏はまず宮崎駿監督のアニメーション作品における少女たちの台詞に注目した。一般的に宮崎作品の少女たちは、独特な言い回しと古風で女性的な言葉を話しているように捉えられている。だが、井上氏が作品から抽出した台詞を検証すると、それらは過去から現在にむかって変化し、より現代的な、かつジェンダー開放型のものになってきているのが理解できる。つぎに井上氏が着目したのは、言葉におけるジェンダーである。井上氏は江戸期から現代にいたる女性たちの言葉を分析し、私たちが知るところの女性的な言葉が実は狭い範囲の流行物であり、そうしたものが現在においては定着してしまっていることを指摘した。つまりは、言葉はそもそもジェンダー開放型のものであり、宮崎作品にみられるような言葉のあり方の現在形は歴史上では特殊なものではないのである。こうした議論を踏まえた上で、過去から現在へとジェンダー開放型にむかう言葉の変化の図式の下で、井上氏は最後に『時をかける少女』(小説と実写映画、そしてアニメーション作品)の言葉の変化を指摘した。

井上氏の講演が終了した後、本学学生および一般の来場者たちと井上氏による質疑応答が行われた。学生たちの積極的な発言と井上氏の非常に細やかな応答により、講演と同様、質疑応答の時間もまた、実り豊かなものとなった。

なお、本講演会は、同志社女子大学教育基金に係る援助金を受けて立ち上げた「ことばプロジェクト」の一環となる。

(同志社女子大学情報メディア学科助教 松谷容作)

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2004年度 第1回 井上直久講演会