「わかりやすい情報」って何? インフォメーションデザイナー桐山岳寛氏講演会

第2回 同志社女子大学情報メディア学科講演会
「わかりやすい情報」って何?〜グローバル時代の「説明する力」を考える〜

カテゴリー
講演会
講師
桐山岳寛氏(インフォメーションデザイナー)
開催日時
2017年11月22日(水)15:00〜16:00
場所
同志社女子大学 京田辺キャンパス 知徳館2号棟1階 C122教室
参加対象
在学生および一般 申込不要 入場料無料
お問い合わせ
同志社女子大学 学芸学部 情報メディア学科 事務室
TEL:0774-65-8635

講師プロフィール 桐山岳寛氏

インフォメーションデザイナー
1981年生。英国レディング大学大学院修了。デザイン実務のかたわら、国内外でのデザイナー・講師経験を生かし「言葉の壁を乗り越えるデザインと伝え方」を テーマに、ビジネスや教育現場で役立つ図解やグラフの効果的な活用術を伝えている。著書に『図解の教科書』(かんき出版)。

REPORT

自分だけのデザインや研究テーマを見つけ出す為には、何らかのきっかけが必要となります。グラフィックデザイナーの桐山岳寛氏にとって、それはモンゴルとイギリスに滞在し、言葉や文字の壁にぶつかったことだそうです。
桐山氏はモンゴルの首都ウランバートルで2年間生活し、モンゴル国立工業美術学校のグラフィックデザイン講師を務めました。モンゴルで使われる言語はモンゴル語、文字はキリル文字です。観光ではなく、海外で「生活」をする場合、母国であれば簡単に理解できるはずの日常的な情報が読み取れず、非常に苦労することがあったそうです。その一例として、桐山氏は滞在中に体調を崩した際の経験を語ってくれました。薬を処方され、飲み方を説明書で確かめようとしたところ、そこに書かれている文字がモンゴル語なのか、ロシア語なのかすら解らず、ついに飲むことを諦めたそうです。薬をいつ、どのように、どれほど飲めば良いか、根本的な情報が何一つ掴めなかった為です。

桐山氏は、この体験によりデザイナーとして重要なことに気づいたと言われました。このような場合、本来であれば、デザインや図が理解を助けてくれるはずです。しかし、モンゴルの薬の説明書に視覚的な要素が何一つなく、文字でしか情報を伝えようとしないのはなぜか。これはモンゴルが単一言語により成り立っているからであり、その点において日本も同様である、ということを示しています。
そしてこれは、故郷を離れ「外国人」となった際に起こる、グローバル社会における国際的な難問であると言えます。

その後、桐山氏は言葉と文字の文化の壁を乗り越える為のデザイン方式を研究・追求することを目標に、2013年にイギリスのレディング大学へ留学しました。氏の研究対象は、当初インスピレーションを受けた医薬品のリーフレットのデザインの可読性でした。

桐山氏は他にも、一般的な情報を伝える時のデザインの役割と手段に関しても言及されました。
近年、インフォメーション・デザインがデザインジャンルとして流行し、視覚的要素として表面的に評価されてきました。この為、本来の「情報を速く明確に多くの人に伝える」ミッションが後回しにされてきたと指摘されます。
桐山氏の講演によって、インフォメーション・デザインの従来の役目、そして可能性について問い直す良い機会となりました。
情報メディア、そして2018年からはメディア創造学科として学んでいく上で、非常に有用な講演会となりました。

髙木毬子(情報メディア学科)

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